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ペット防災への備え


ペット防災のおはなし

ペット防災の意識を持ちましょう

ペット防災の意識を持ちましょう


沖縄県は地震や津波が少なく、台風以外の自然災害の心配は少ないと思っている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、1771年の明和の大津波では約1万2千人もの被害者が出たという記録が残っていますし、現在の調査で数多くの活断層や琉球海溝の固着域も見つかっています。そして、今後30年以内に起きる確率が70~80%と想定されている南海トラフ大地震では、沖縄県にも津波など直接的な被害が発生する可能性もあり、また、新型コロナウイルス感染症の流行の初期にマスクや消毒用アルコールが手に入りづらくなった記憶も新しいと思いますが、全国的に物資の流通は滞り、経済的な影響を含めた間接的被害も甚大になると考えられます。
災害大国日本と言われますが、私たちの暮らす沖縄県も例にもれずその一部なのです。いざ災害が発生したときにペットの安全と命を守ってあげられるよう、日頃からペット防災の意識を持って備えていきましょう!

平常時から確認しておきましょう


家族間の連絡方法
飼育環境の安全確保
ペットが普段過ごしている場所に家具の倒壊やガラスの破片、外飼育の場合は飛来物や冠水などの危険は及びませんか?
避難先の確認
避難が必要な場合は原則として同行避難します。お住まいの地域でペットの同行避難を受け入れている避難所の場所と避難経路を確認しておきましょう。
※同行避難 飼い主がペットを連れて一緒に避難すること
※同伴避難 ペットと一緒に避難し、かつ避難所で一緒に過ごすこと

避難方法
ケージやキャリーバックでの移動に慣れていますか?自分で歩いて移動するワンちゃんの足は‘裸足’です。瓦礫などでケガをしないように専用の靴やカバーを使い慣れておくと安心です。

平常時から確認しておきましょう

もしものときに備えておきたいもの

避難施設にはペット専用のものが備蓄されていることは少なく、支援物資が届くのも人の食料や日用品に比べて
時間がかかることがあります。それぞれのペットに必要なものをあらかじめ準備しておきましょう。

項目 理由
1週間分以上のフードと水 これまでの災害において、避難所に避難していたペットの健康被害のうち多かったのは、ストレスや食べ物の変化などによる胃腸炎でした。普段から食べているフードと使い慣れている食器を用意しておきましょう。とくに療法食は災害時には手に入りにくくなることが予測されます。
常備薬・療法食 ペットに慢性疾患がある場合は1~2週間の余裕を持って常備しておきましょう。
(処方日数に制限のあるお薬もあります。詳しくは獣医師にご相談ください。)
健康記録 ワクチンの接種状況、フィラリア症や外部寄生虫の予防歴、既往病歴、常備薬や療法食の情報が分かるとかかりつけ動物病院以外での診療や一時預かりのときに役立ちます。
飼主さん以外の緊急連絡先もあれば記入しておきましょう。
ペットの写真 万が一、はぐれてしまって収容施設などに探しに行く場合に必要となります。
顔写真だけでなく全体像、飼い主さんと一緒に写った写真があると、特定に役立ちます。
写真はスマートフォンなどのデータ保存だけではなく、プリントアウトもしておきましょう。
日用品 リード・首輪・洗濯ネット(ネコ用)
ペットが逃げ出して迷子にならないために必要です。リードは伸びないタイプを用意しましょう。
小型犬やネコちゃんはリードを付けるかネコちゃんの場合は洗濯ネットに入れたうえでキャリーバッグなどに入れて避難しましょう。
ケージ・キャリーバッグ
ペットを抱っこして避難すると飼い主さんの手がふさがってしまいます。ご自身とペットの安全のためにもケージやキャリーバッグに入れて避難しましょう。また、避難所(同伴避難所またはペット専用避難所)ではペット達はほとんどケージやクレートの中で過ごすことになりますので、普段から慣れておくといいでしょう。
トイレ用品
こちらも1週間分以上用意しておきましょう。ペット同伴避難所では臭い対策もお忘れなく!
迷子札
鑑札(犬)
マイクロチップ
普段から首輪に迷子札や鑑札を付け、迷子になった場合でもペットの名前、飼い主さんの連絡先がわかるようにしておきましょう。
ネコちゃんの場合は安全のためにムリな力がかかると外れるタイプの首輪が推奨されますが、その場合でもマイクロチップが装着されていると身元確認ができます。

1週間分以上のフードと水

ローリングストック法

普段から少し多めにフードやお薬を常備しておき、
使ったら使った分だけ新しく補充していく方法です。
この方法だと常に在庫量を把握できますし、
備蓄したまま期限切れになってしまう心配もありません。

ローリングストック法
犬と猫が1日に必要な水分量
(ml フードから摂る水分量を含む)
体重(kg) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 15 20
190 260 320 370 430 480 530 580 630 850 1060
140 190 240 280 320 360 400 440 470

出典:環境省
-飼い主のためのペットフード・ガイドライン-

ドライフードの水分含有量:約10%
ウェットフードの水分含有量:約75%

例えば、一日に80g×2回の缶フードを食べるネコちゃんは約120mlの水分も一緒に摂っていることになります。備蓄フードにウェットフードを組み合わせておくと、効率よく水分を補う事が出来ます。災害という非日常の状況では食欲がなくなるコもいるでしょうから、大好きなペースト状のオヤツなどがあるといいかもしれませんね。

健康管理としつけ

避難所では他のペット達と共同生活になりますので、感染症予防として日ごろから混合ワクチンや狂犬病予防接種(犬)、ノミ・
ダニ・フィラリア症などの寄生虫予防をしておきましょう。
繁殖予定のないペットは避妊・去勢手術をしておくことで、避難所での余計なストレスを軽減し無駄吠え等の問題行動を抑制する効果が期待できます。また、万が一逸走した場合に望まない妊娠をすることも防げます。
災害という緊急時に安全に避難するため、避難所で他の避難者へ迷惑をかけないためにも(避難所には動物が苦手な方やアレルギー体質の方もいらっしゃいます)、日ごろからのしつけが大切です。

犬の場合

  • ● 「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」など基本的な号令に従う
  • ● 不必要に吠えない
  • ● 人や他の動物を怖がったり攻撃的にならない
  • ● 決められた場所で排泄ができる
  • ● リードに繋がれることに慣らしておく
  • ● ケージに嫌がらずにはいれる
犬の写真

猫の場合

  • ● ケージやキャリーバッグに嫌がらずにはいれる
  • ● 決まったトイレで排泄できる
  • ● 人や他の動物を怖がらない
猫の写真

情報も備えましょう

環境省のホームページには災害時にペットに役立つ情報が掲載されています。

『災害時におけるペットの救護対策ガイドライン』
『災害、あなたとペットは大丈夫?』
『備えよう!いつもいっしょにいたいから』

(公社)沖縄県獣医師会では災害時における
動物救護活動に備えて講習会を開催し、『沖縄VMAT』や『協力動物病院』の仕組みを整えたり、救護活動に必要な装備の備蓄などに努めています。

沖縄VMAT

「VMAT:災害時派遣獣医療チーム」とは獣医師、動物看護師など1チーム4~5名で構成され、大規模災害や多くの傷病動物が発生した事故などの現場において、急性期(おおむね48時間以内)に迅速な動物救護活動をする専門的な訓練を受けた獣医療チームのことです。 2016年に発生した熊本地震の時は地域を超えて福岡VMATが出動し、救急診療や避難所でのペット相談、物資輸送などの支援活動を行いました。その後、群馬県や大阪府でもVMATが設立され、その活動は全国的に広がってきています。
沖縄県獣医師会でも2017年度から講習会をスタートし、2019年10月末の時点で42名(獣医師22名、動物看護師20名)のVMAT隊員を認定しています。
また、沖縄県獣医師会は沖縄県および那覇市と「災害時における愛護動物の救護に関する協定」を締結し、多方面からペット防災に取り組んでいます。